令和6年度 伊江村民俗芸能発表会 (その2 組踊「忠臣蔵」)
2024年11月9日、伊江村民俗芸能発表会(東江上区)を見学しました。
このブログで紹介するのは、伊江島で34年ぶりに上演された組踊「忠臣蔵」です。
この組踊は、伊江島出身の上地太郎により、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を元に1839年頃に創作されました。
第1幕「マルムン(間の者)」。
マルムンは、組踊で物語の経過を、面白く説明をする役割です。
普通は幕間に出てきますが、最初に登場するのは珍しいです。
マルムン役の潮平が、伊豆御殿の様子を語ります。
高良大按司(この物語での敵役)が、城内の振舞いの準備に、伊豆の若按司と塩治按司にも登城するように命じたそうです。
(以降、第2-3幕で伊豆の若按司vs高良大按司、第4-11幕で塩治按司vs高良大按司の話になります。)
第2幕「宜那真大屋久松伐りの場面」。
伊豆の若按司が、臣下の宜那真大屋久に愚痴を言っています。
内容は、伊豆の若按司と塩治按司は、龍福寺での接待の件で、経験が浅いと高良大按司に恥をかかされたそうです。
若按司は、太刀を抜いて喧嘩をするかもしれないと言っているように短気なようです。
伊豆の若按司の話を聞いた宜那真大屋久は、我々にも武士としての意地がありますと、松を切って若按司を励まします。
第3幕「宜那真大屋久わいろの場面」。
高良大按司と伴田大屋久が登場して、宜那真大屋久の使者から巻物や黄金の品々を受け取ります。
伴田大屋久が、受け取った賄賂の目録を読み上げます。
高良大按司は、賄賂に上機嫌になります。
(伊豆の若按司が高良大按司に刀傷を働いたので、本来なら伊豆家断絶の運命でした。しかし、宜那真大屋久が、その難から救ったと云われています。)
第4幕「加那ぐずぃ城に行く場面」。
塩治按司の身内の加那ぐずぃが、御内原の使者として、城に向かいます。
第5幕「松の間の刀傷の場面」。
高良大按司が、遅れて登城した塩治按司を責めています。
塩治按司は、妻を侮辱するような事なども言われて、高良大按司と口論となります。
塩治按司は、高良大按司に切り付けました。
しかし、高良大按司は扇で受け止めます。
第6幕「平田、加那ぐずぃ対面の場面」。
平田里之子は、塩治按司の臣下です。
しかし、色欲に耽けた為、塩治按司の供を外されました。
それでも塩治按司を心配して、城を訪ねます。
平田里之子は、塩治按司が高良大按司に傷を負わせた為に、屋敷もろとも取り上げになった事を聞きます。
自責の念にかられて切腹しようとしますが、妻の加那ぐずぃに止められます。
2人は、加那ぐずぃの生家に連れ立って行きます。
(その後、塩治按司は切腹、平田里之子も死んでしまいます。)
第7幕「吉屋うみすぃなぬ宿(その一)」。
塩治按司の臣下の大石大主は、吉屋うみすぃなの宿(仲島遊郭の一つ)で、酒浸りになっていました。
そこへ、三人武士(矢間大屋久、神崎之子、喜如嘉大屋久)と寺岡之比屋が訪ねてきます。
大石大主は、酒宴三昧でフラフラです。
大石大主は寝転びながら、三人武士に塩治按司の仇討ちの意思を問われても、はぐらかします。
怒った矢間大屋久が、刀を抜こうとします。
寺岡之比屋が、矢間大屋久を止めます。
三人武士が帰った後、寺岡之比屋は、寝転んだ大石大主に枕を置いてあげます。
さらに寺岡之比屋は、大石大主に着物を掛けてあげます。
敵役の源河大屋久と伴田大屋久が登場。
源河大屋久は、昔は塩治按司の臣下でしたが、今は高良大按司に鞍替えしたことを話します。
源河大屋久と伴田大屋久が、宿に入って行きます。
源河大屋久と伴田大屋久が、大石大主の様子を伺います。
大石大主の刀が錆びているのを見て、仇討ちの意思が無いと判断します。
源河大屋久と伴田大屋久が席を外すと、大石大主の家臣の金松が、大石大主の妻からの密書を渡します。
金松は、敵の高良大按司が間もなく那覇にやって来ると手紙に書かれていると言います。
源河大屋久と伴田大屋久が再びやって来て、大石大主と腹の探り合いをします。
源河大屋久は、大石大主が受け取った手紙が気になっているようです。
第8幕「吉屋うみすぃなぬ宿(その二)」。
源河大屋久は、駕篭に乗って帰ろうとします。
大石大主が気になった源河大屋久は、駕篭の反対側から降りて、再び宿に戻ります。
伴田大屋久が駕篭を確認すると、中には誰も居ませんでした。
伴田大屋久は、空の駕篭と共に去っていきます。
第9幕「吉屋うみすぃなぬ宿(その三)」。
大石大主の登場。
縁の下には、源河大屋久が隠れています。
大石大主の読み終わった密書を、縁の下で盗み見る源河大屋久。
大石大主の右手に居る加那ぐずぃも、手鏡で密書を盗み見ています。
加那ぐずぃが、簪を投げて、源河大屋久が盗み見ているのを大石大主に知らせます。
見つかった源河大屋久は、大石大主に刺されますが、奥に逃げます。
大石大主は、密書を見た加那ぐずぃから情報が広がるのを恐れて、加那ぐずぃに妻になるように迫ります。
加那ぐずぃと兄の寺岡之比屋が出会います。
抱き合う兄妹。
寺岡之比屋は、母親から、加那ぐずぃが夫の平田里之子の死後、仲島遊郭に身売りしたことを聞いていました。
加那ぐずぃは、密書の内容を寺岡之比屋に伝えます。
寺岡之比屋は、加那ぐずぃは大石大主に騙されていて、大石大主は秘密を知った加那ぐずぃを殺すに違いないと考えます。
他人に殺されるよりは、兄の自分が加那ぐずぃを切ろうとしますが、大石大主に止められます。
大石大主は、加那ぐずぃに軸物を渡して、母親孝行するように伝えます。
また寺岡之比屋に、仇討ちの供をするように命じます。
寺岡之比屋は、裏切者の源河大屋久を引きずり出して、縄をかけます。
大石大主は、源河大屋久を犬猫の餌食にするように命じます。
三人武士(矢間大屋久、神崎之子、喜如嘉大屋久)は、誤解していたことを大石大主に謝ります。
大石大主は、三人武士に連判状を読み、改めて血判するように命じます。
第10幕「討入り道行の場面」。
忠臣蔵口説と共に、大石大主の一行が登場。
平田里之子の幽霊も加わっています。
寺岡之比屋が、槍の手並みを披露。
大石大主が、討入りの手配り(采配)をします。
夜回りの二人が登場。
喜如嘉大屋久と寺岡之比屋が、夜回りを成敗。
拍子木を奪って、仲間に合図を送ります。
幕内で、大石大主の仲間たちの「天・天」、「川・川」の掛け合いが聞こえます。
第11幕「勝ちどき」。
高良大按司が捕えられました。
大石大主は、明日は塩治按司の三回忌なので、高良大按司の体を切り刻んで奉納しようと言って、勝どきを上げます。
組踊「忠臣蔵」は、上演時間が約2時間の大作で、内容も素晴らしかったです。
伊江島の民俗芸能発表会はお勧めですね。
地図をGoogleマップで表示
このブログで紹介するのは、伊江島で34年ぶりに上演された組踊「忠臣蔵」です。
この組踊は、伊江島出身の上地太郎により、歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を元に1839年頃に創作されました。
第1幕「マルムン(間の者)」。
マルムンは、組踊で物語の経過を、面白く説明をする役割です。
普通は幕間に出てきますが、最初に登場するのは珍しいです。
マルムン役の潮平が、伊豆御殿の様子を語ります。
高良大按司(この物語での敵役)が、城内の振舞いの準備に、伊豆の若按司と塩治按司にも登城するように命じたそうです。
(以降、第2-3幕で伊豆の若按司vs高良大按司、第4-11幕で塩治按司vs高良大按司の話になります。)
第2幕「宜那真大屋久松伐りの場面」。
伊豆の若按司が、臣下の宜那真大屋久に愚痴を言っています。
内容は、伊豆の若按司と塩治按司は、龍福寺での接待の件で、経験が浅いと高良大按司に恥をかかされたそうです。
若按司は、太刀を抜いて喧嘩をするかもしれないと言っているように短気なようです。
伊豆の若按司の話を聞いた宜那真大屋久は、我々にも武士としての意地がありますと、松を切って若按司を励まします。
第3幕「宜那真大屋久わいろの場面」。
高良大按司と伴田大屋久が登場して、宜那真大屋久の使者から巻物や黄金の品々を受け取ります。
伴田大屋久が、受け取った賄賂の目録を読み上げます。
高良大按司は、賄賂に上機嫌になります。
(伊豆の若按司が高良大按司に刀傷を働いたので、本来なら伊豆家断絶の運命でした。しかし、宜那真大屋久が、その難から救ったと云われています。)
第4幕「加那ぐずぃ城に行く場面」。
塩治按司の身内の加那ぐずぃが、御内原の使者として、城に向かいます。
第5幕「松の間の刀傷の場面」。
高良大按司が、遅れて登城した塩治按司を責めています。
塩治按司は、妻を侮辱するような事なども言われて、高良大按司と口論となります。
塩治按司は、高良大按司に切り付けました。
しかし、高良大按司は扇で受け止めます。
第6幕「平田、加那ぐずぃ対面の場面」。
平田里之子は、塩治按司の臣下です。
しかし、色欲に耽けた為、塩治按司の供を外されました。
それでも塩治按司を心配して、城を訪ねます。
平田里之子は、塩治按司が高良大按司に傷を負わせた為に、屋敷もろとも取り上げになった事を聞きます。
自責の念にかられて切腹しようとしますが、妻の加那ぐずぃに止められます。
2人は、加那ぐずぃの生家に連れ立って行きます。
(その後、塩治按司は切腹、平田里之子も死んでしまいます。)
第7幕「吉屋うみすぃなぬ宿(その一)」。
塩治按司の臣下の大石大主は、吉屋うみすぃなの宿(仲島遊郭の一つ)で、酒浸りになっていました。
そこへ、三人武士(矢間大屋久、神崎之子、喜如嘉大屋久)と寺岡之比屋が訪ねてきます。
大石大主は、酒宴三昧でフラフラです。
大石大主は寝転びながら、三人武士に塩治按司の仇討ちの意思を問われても、はぐらかします。
怒った矢間大屋久が、刀を抜こうとします。
寺岡之比屋が、矢間大屋久を止めます。
三人武士が帰った後、寺岡之比屋は、寝転んだ大石大主に枕を置いてあげます。
さらに寺岡之比屋は、大石大主に着物を掛けてあげます。
敵役の源河大屋久と伴田大屋久が登場。
源河大屋久は、昔は塩治按司の臣下でしたが、今は高良大按司に鞍替えしたことを話します。
源河大屋久と伴田大屋久が、宿に入って行きます。
源河大屋久と伴田大屋久が、大石大主の様子を伺います。
大石大主の刀が錆びているのを見て、仇討ちの意思が無いと判断します。
源河大屋久と伴田大屋久が席を外すと、大石大主の家臣の金松が、大石大主の妻からの密書を渡します。
金松は、敵の高良大按司が間もなく那覇にやって来ると手紙に書かれていると言います。
源河大屋久と伴田大屋久が再びやって来て、大石大主と腹の探り合いをします。
源河大屋久は、大石大主が受け取った手紙が気になっているようです。
第8幕「吉屋うみすぃなぬ宿(その二)」。
源河大屋久は、駕篭に乗って帰ろうとします。
大石大主が気になった源河大屋久は、駕篭の反対側から降りて、再び宿に戻ります。
伴田大屋久が駕篭を確認すると、中には誰も居ませんでした。
伴田大屋久は、空の駕篭と共に去っていきます。
第9幕「吉屋うみすぃなぬ宿(その三)」。
大石大主の登場。
縁の下には、源河大屋久が隠れています。
大石大主の読み終わった密書を、縁の下で盗み見る源河大屋久。
大石大主の右手に居る加那ぐずぃも、手鏡で密書を盗み見ています。
加那ぐずぃが、簪を投げて、源河大屋久が盗み見ているのを大石大主に知らせます。
見つかった源河大屋久は、大石大主に刺されますが、奥に逃げます。
大石大主は、密書を見た加那ぐずぃから情報が広がるのを恐れて、加那ぐずぃに妻になるように迫ります。
加那ぐずぃと兄の寺岡之比屋が出会います。
抱き合う兄妹。
寺岡之比屋は、母親から、加那ぐずぃが夫の平田里之子の死後、仲島遊郭に身売りしたことを聞いていました。
加那ぐずぃは、密書の内容を寺岡之比屋に伝えます。
寺岡之比屋は、加那ぐずぃは大石大主に騙されていて、大石大主は秘密を知った加那ぐずぃを殺すに違いないと考えます。
他人に殺されるよりは、兄の自分が加那ぐずぃを切ろうとしますが、大石大主に止められます。
大石大主は、加那ぐずぃに軸物を渡して、母親孝行するように伝えます。
また寺岡之比屋に、仇討ちの供をするように命じます。
寺岡之比屋は、裏切者の源河大屋久を引きずり出して、縄をかけます。
大石大主は、源河大屋久を犬猫の餌食にするように命じます。
三人武士(矢間大屋久、神崎之子、喜如嘉大屋久)は、誤解していたことを大石大主に謝ります。
大石大主は、三人武士に連判状を読み、改めて血判するように命じます。
第10幕「討入り道行の場面」。
忠臣蔵口説と共に、大石大主の一行が登場。
平田里之子の幽霊も加わっています。
寺岡之比屋が、槍の手並みを披露。
大石大主が、討入りの手配り(采配)をします。
夜回りの二人が登場。
喜如嘉大屋久と寺岡之比屋が、夜回りを成敗。
拍子木を奪って、仲間に合図を送ります。
幕内で、大石大主の仲間たちの「天・天」、「川・川」の掛け合いが聞こえます。
第11幕「勝ちどき」。
高良大按司が捕えられました。
大石大主は、明日は塩治按司の三回忌なので、高良大按司の体を切り刻んで奉納しようと言って、勝どきを上げます。
組踊「忠臣蔵」は、上演時間が約2時間の大作で、内容も素晴らしかったです。
伊江島の民俗芸能発表会はお勧めですね。
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