昨日今日の2日間、西表島でウミショウブ(学名:Enhalus acoroides)の花を鑑賞しました。
ウミショウブは、毎年この時期の大潮の昼間の干潮時にしか咲きません。
しかも、雄花が水面に浮かぶ為には、光合成で酸素の泡を作る必要があるので、晴れている必要もあって難易度が高いです。
※植物の受粉には、虫を使う虫媒花、風を使う風媒花などがありますが、ウミショウブは水を使う水媒花の一つ。
ウミショウブは水媒花の中でも、雄花が水面を移動して受粉する、雄性花水面媒と呼ばれています。

ウミショウブの受粉(mating of Enhalus acoroides)

まずは、昨日の様子から。
大潮で、西表島の干潮は、13時44分。
晴れ時々曇りで、ウミショウブが咲く条件が揃っています。
午前中にサガリバナを見た後、シュノーケル3点セットを取りに宿に一旦戻ってから、まずは祖納へ。
西表島西部でウミショウブを見られるメジャーなポイントは、祖納とミダラ浜、船浮です。
祖納に行ってみると、テレビ番組のスタッフの人達が既にいました。
それ以外にも、今日はウミショウブ観察会が行われるらしく、祖納はかなり混雑する予感。汗
祖納は諦めて、白浜の手前にあるミダラ浜へ移動。
こっちは、自分1人だけ。笑
干潮よりかなり早めの12時頃から、雄花が咲き始めました。
花粉は、括れの小さい上側部分の内側に詰まっています。

ウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)

海の中で、雄花は、2枚の包葉に包まれています。
包葉の中を見てみると、数百の雄花が詰め込めれていました。
下の写真でも分かるように、包葉の中には泡があります。
光合成で作った酸素の泡の浮力を使って、雄花は水面に浮き上がります。

水中のウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)

雄花の表面は撥水性なので、少しの風で水面を走り回ります。
その様子は、動画を見てください。
常に動いている雄花の写真を撮るのは、超大変。


去年は雌花を見つけられなかったので、水中に雌花があることを念の為に確認。
雌花も、水中では2枚の包葉に包まれています。

水中のウミショウブの雌花(female flower of Enhalus acoroides)

干潮の少し前13時頃から、雌花が水面に出て、開花し始めました。
3枚の花弁を広げて、雄花を集めています。

ウミショウブの受粉(mating of Enhalus acoroides)

干潮を過ぎた14時頃から、水位が上がりだして、雌花が水中に引き込まれて閉じていきます。
それと同時に、雌花にトラップされた雄花も水中へ。
受粉の成立です。

ウミショウブの受粉(mating of Enhalus acoroides)

下の動画を見ると、分かり易いかも。
雌花が水中に引き込まれると同時に、雄花が次々と吸い込まれていきます。
自然は上手く出来ていますね。


テレビ番組のスタッフの人達も、結局、祖納からミダラ浜に移動してきて撮影をしていました。
祖納よりもミダラ浜の方が、状態が良かったそうです。

今日は、午前中に由布島に行ってから、ミダラ浜へ移動。
丁度、干潮の14時29分ちょっと前に到着しました。
水面を見てみると、なんか白っぽくて、昨日とは確実に違う。
大量の雄花が水面に浮かんでいて、ウミショウブが満開でした!!

ウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)

ウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)

ウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)


雌花も大量に水面で開花していて、アチコチで受粉が行われていました。
15時半過ぎ位から、雌花が完全に水没し始めて、今回の受粉フィーバーは終了。
波打ち際には、受粉できなかった雄花が打ち上げられていました。涙
何か物悲しいですね。

ウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)

ウミショウブの雄花(male flowers of Enhalus acoroides)

2023年7月4日、ミダラ浜のウミショウブが壊滅状態でした。
地元の知人によると、近年個体数の増加しているアオウミガメによる食害のようです。
食害の防止柵は、半分壊れているような…汗

ウミショウブの食害防止柵

翌日、西表島東部の海岸を探すと、規模は小さいですがウミショウブの群落がありました。
来年あたり、大潮の時に開花状態を確認したいと思います。

西表島東部のウミショウブ

更新)

ウミショウブの開花と受粉@西表島 2014の地図
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